3 猿聟入

(前半同じなので、後半のみ語ってくれた)
 その猿の嫁になって、行ったんだと。嫁入りに行く途中、きれいに咲いた桜の花、天(てん)峯(みね)に咲いったと。そこで駕篭を止めて、
「桜一枝欲しい」
 と言うたと。そうすっど、自分が好きで貰った嫁だから、木に登るのなど大得意だしよ、
「ほだら、オレとってきて呉れる」
 と言って、わらわらと高い木さ登って、
「あそこでないな、こっちのよ」
 と、段々とシンポエさまで登らせて、シンポエの木が折れて、ざぶんと落ちて死んだと。

 この話は猿に嫁入って三ツ目で里がえりする日とか、三月三日の節句ということになっているのが一般であり、里の父が餅が好きなので餅をついて臼がらみ背負って来ることになっている。また猿が川に流れるとき、猿が「川に流るる生命はおしくなけれども、後にのこりし姫恋しや」等の唄をうたう小国町の昔話が見られる。
(大橋 川井遠江)
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