42 瓜姫子と天邪鬼 

 じじとばば、瓜から生まっじゃ瓜姫子、大切に育てて、娘盛りになったもんだから、機織りさせっだごんだな。そしてある日、トコロ掘りに行って、
「トコロ好きだから掘って来て食せっからな」
 て、じじとばば、トコロ掘りに行く時、その機織りしった娘どこさ、
「決して、天邪鬼来たとき、戸開けなよ」
 て言わっで、機織りしったどこだけな。そしたれば、そさ天邪鬼来て、
「戸開けて呉んねぇか」
「じじとばばに、決して戸開けんなて言わっじゃがら、戸開けらんね」
 て、そうして言うて、んだげんど、天邪鬼、
「ちいと、爪の入るほど開けて呉んねぇか」
 て、爪の入るほど開けて呉っじゃど。そして、
「いまちいと開けて呉んねぇか、指の入るほど開けて呉んねぇが」
 て、こんど指の入るほど開けたれば、ガラッと入って来て、瓜姫子食ってしまったど。そうしてはぁ、瓜姫子食ってしまって、骨を流し尻さ投げてはぁ、自分がなりすまして、そして機織りしったどさ、じじとばば、トコロいっぱい掘って背負ってきて、茹でて呉っじゃど。いつもだど毛をとったり皮をむいたりして食うの、皮もむかね、毛もとんねで食うもんだから、
「なえだ、瓜姫子、そがえして食って」
 て言うたら、
「毛は毛の薬、皮は皮の薬」
 て、そしてそいつ食った。なんだかおかしいもんだな、いつもの瓜姫子とちがうもんだな、ていたら、やっぱり烏が教えたんだけな。
   瓜姫子のハタさ
   天邪鬼ぁのりーた のりーた
 どかて、烏ぁ外で言うた。あんまり烏言うもんだから、そして流しさ行ってみたら、その骨殻いっぱいあっどこだけな。そして「この畜生、ほに、天邪鬼、瓜姫子殺して……」
 て、殺して、うしろのカヤカブさ埋めた。そしてカヤの根元て赤いんだな、そして今でもカヤの根元は赤いなは、天邪鬼埋めらっだからだど。とーびったり。
(大石きみよ)
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