39 桃太郎 

じっちゃとばっちゃいたけど。じじは山さ柴伐りに、ばばは洗濯に行ったけど。そして洗濯しったれば、大きな桃はプンクプンクと流っできたんだど。そしてその桃をばっちゃが拾って家さ持ってきて置いたれば、そのうちにじじ戻ってきて、
「桃拾って来たべ」
 なて言うど、
「ほんじゃ、割って食うべな」
 て、いたどさ、俎板と庖丁と持ってきて、割る気になったれば、その中から子ども生(うま)っで来たど。喜んで、じじとばば、本気になって、それをめんごがって、いろいろなもの拵って食せだって。そしたれば、見るみるうちに大きくなってはぁ、こんど名前は桃太郎とつけて、鬼退治に行きたいてな。そしてばばもじじもやりだくないて言うだげんども、行きたい行きたいて言うもんだから、ばば、キビダンゴ拵えて、そして袋さ入れてあずけたど。そうすっど、持って桃太郎ぁ出かけた。したれば猿がきて、
「桃太郎さん、桃太郎さん、どこさ行くなだ」
「鬼退治に行くなだ」
 て言うたば、
「おれさ一つ呉ろ、そうすっどおれもついて行んから…」
 て言うもんで、一つ呉っじゃんだど。そしてそれをもらって一緒について行って、もう少し行ったば、犬ぁ来た。犬もやっぱりそう言って、キビダンゴもらって食ってはぁ、また行ったって。してまた、ずうっと行くと、キジがまた来て、キジもキビダンゴもらって、食って、そしてそれも従(つ)いて行った。猿に犬にキジに。
 そして鬼ガ島に行ってみたらば、大きな鬼ぁいっぱいいて、桃太郎が鬼を征伐して、とってしまった。そんで、宝物いっぱい出して、降参して、桃太郎に呉っで、「敗けたからはぁ、許して呉(く)ろ」て言って、そして宝物出したんだど。そしてそれをもらって、山ほど積んで引いて家さ戻ってきて、じじとばばどこぁ、立派に大切にして暮させたんだど。とーぴったり。
(高橋うめの)
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