14 古屋の漏れむかし、ここのようなどこに大きな家あって、じじとばば暮しったけど。そして狼がぐるりさ来ったなど。そしてじじとばばの寝ての寝話に、「そのなあ、じじ、じじ、恐っかないものは、何一番恐っかないべなぁ」 てよ。 「狼ていうの恐っかないもんだ。人とって食うもんだから、恐っかないもんだぜ」 「んだか。んだげんど、古屋の漏ていうのも恐っかないぜ、古屋の漏の方が恐っかないでないべかな、じじ」 て、寝話だけど。そうすっじど、狼が古屋の漏じゃ、何ものだかと思ってな。恐っかなくてはぁ、その話聞いてはぁ、まず、この家さ入って悪(わ)れことして呉れましょうと思って来ていたべげんども、ガラガラ逃げて行った。 |
(佃 すゑ) |
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