11 猿蟹合戦あるところに猿と蟹ぁいて、してニギリメシ、蟹ぁ拾って食べていたど。猿ぁ山から降(お)ちてきて、「柿の種子と取りかえろ」 て。そしたら蟹ぁだまさっではぁ、「取換えね」て言ったげんども、取換えろて言わっでなぁ、 「こいつ植えっど、じきになっから」 そしてヤキメシやってはぁ、柿の種子を猿からもらって来て、そしてお庭さ植えて、一生懸命で水かけて、おがした。そしたら大きくなって、実(な)ったわけだ。 「ならざらハサミ切る」とか言うて、大きくなって、そうすっどまた猿ぁ山から降りてきて、柿実(な)ったもんだから、 「もいでくれっから」 蟹は登らんねわけだ。登ってみっどツルツルと落ちてきて、 「ほんじゃ、おれ、もいで呉れっから…」 て、そして蟹ぁ、 「猿ぁ木登り上手だから」 て、猿ぁ上がって行って、もいでキザワシであったなだなぁ、渋味のないの。そしてその自分が色のついたうまいとこばり食って、蟹は、 「一つ落して呉ろ」 て言うど、遅色ついたとこの渋味、いいあんばい取んねとこなの呉っだ。そしてしまいには蟹とこさ柿ぶっつけて、自分がいっぱいもいで持(たが)って逃げて行ったと。そして蟹は甲羅痛めてはぁ、泣いていたどこさ、いろいろな来たわけだ。 「なして泣いてる」 て、臼に蜂に栗、そして昆布が来て、「なして泣いてる」て言うたらば、 「こういうわけで、猿に甲羅さ柿ぶっつけらっで、痛くて泣いっだ」 「そんじゃ、晩げ夜討ちしろ」 て、猿の家さ行ってみたら、留守であったそうだ。そうすっどみな、てんでんに半分(はんわ)けして隠っでいだって。蟹は水桶の中、蜂は窓のとこさ、臼は入り口の天井さ、昆布はその下にいた。そうすっど、その猿は滑(すめ)っから、そしてまず待ちっだどこさ帰って来たわけだ。そしてまず待ちっだどこさ帰ってきたわけだ。そして栗はホドの中さいて、そして帰ってきて火掘ったら、栗ははねたわけだ。そうすっど顔面(つら)火傷して、そうすっど熱いもんだから、桶さ行って顔洗うべと思ったら、こんどはぁ、蟹に鼻はさまっだ。そしてまたこんどはぁ、困ったと思って、そこらキョロキョロと見てるうち、蜂ぁ飛んできて、蜂は眼(まなぐ)刺したど。そうすっど、たまらなくなってはぁ、出はったわけだ。表さ。出はりしまに、昆布さ滑(すめ)って、そして天井から臼落ちてきて、つぶさっでしまったど。んだから悪いごとざぁさんねもんだど。とーびったり。 |
(男鹿てつの) |
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