88 南の山の馬鹿聟・だんぽ娘に南の山から聟もらったど。そして里帰りに、聟と来たわけだ。来っどき、ドッコイショ、ドッコイショて来たもんだど。そしていよいよ家まできて、娘のダダが、聟が来たもんだから、御馳走拵(こしゃ)えらんなねて、団子出したれば、そいつ大変うまかったて。んだから忘れねで、そいつ食いたいげんど、何て言うのだか忘せて語らんねから、ドッコイショ、ドッコイショて行ったもんだから、そればり憶えてて、 団子忘せてしまったど。んだもんだから、「あれよ、あれよ」て言うげんど分んね。ドッコイショて何のことだかさっぱり分んね。そしたれば、 「ドッコイショざぁ、あれよ」 て、鍵引っぱって、ダダ、ちょうど鍵の向いさ来ったどき、引っぱってだの、「あれよ」て放すど、スナズキ(ひたい)さぶっつかったずも。そうすっど、大変に団子みたいなコブできたずも。 「団子のようなコブできた」 「ああ、それよ、団子よ」 て言うたど。 |
(男鹿 秀) |
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