和尚と小僧

 檀家で、何しても敵わなくて、和尚さま、橋渡んなね。そうしねど行かんね家
だったど。
「和尚さま、どうか、何時何時にござって、お経上げておくやい」
 て言うたば、そこさ建札しったど。そうすっど、和尚さま、真中通って行ぎやっ
た。そして中さ行って、着いて、そしてお経詠むべと思ったら、
「和尚さま、橋のどこに建札ないがったべか」
 て聞いたど。そしたら
「あそこに建札あったな、あの札は〈この端(はし)は渡るべからず〉と書いてあったか
ら、真中通ってきた」て言うたど。
(平井とよ)
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