地蔵浄土

 おじいさんが庭掃きしったら、団子落ちでだけど。そいつを拾うべど思ったら、
団子が穴さコロッと入って行ってしまったもんだから、そのおじいさんが、
  団子どの 団子どの どこまでござる
 て言うて、かまわずその団子さ追っかけて行ったんだど。したらばとっても広
いところさ出て行って、そしてそこさ地蔵さま立ってだっけど。
 そこで日暮れてしまったど。
「そこに青鬼、赤鬼、いっぱい来て、博奕打ちすっから、刻(とき)つくれ」
 て、地蔵さまから言わっだど。「三番、刻作れ」
 そのじいさんがそこにいたら、青鬼、赤鬼いっぱい来て、博奕打ったど。そう
すっどこんど、一生けんめい博奕打ちしてで、銭いっぱい出したら、そのうち、
コケコッコーて、おじいさんがやったど。
「一番鶏だから早くしろ」
 なて言うたど。しばらくおもって、またコケコーて言うたら、
「いよいよ三番鶏、明るくなったから」
 て、銭などみな置きっ放しで行ってしまったんだっていう話だど。そしたら地
蔵さまに、
「その銭、みな、じんつぁのだから、お前みな持って行げ」
 て言わっだのよ。そしてその人お金持になったのよ。そこさ隣のばさま来た。
その銭見て、
「どっから、こがえにもらって来た」
 て聞いだら、地蔵さまさ行って、こういうわけでだったて言うたら、
「おら家のじさまも団子もたせてやらんなね」
 て言うて行ったど。そしたら団子は転ばねがった。転ばしてやって、その中さ
追っかけて行ったら、やっぱり地蔵さまいて、それから同じにしたげんども、上
がれても言わないな上がって、刻作っているうちに、屁出て、フフフと、そのじ
さま笑ってしまったら、「にせものだ」て、寄ってたがって鬼にこらしめらっで、
ひどい目に会って帰って来たど。んだから決して人真似するもんでないど。どー
びんと。
(平井とよ)
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