1 オタタカチョウ

 弟はとっても兄を大事にしたもんだど。そして兄さうまいものばかり食(か)せてよ、
大事にしったらしいんだな。そうすっど。
「おれさまで、こがえ大事にして、うまいもの食せるもの、弟なの何食っていん
だかわかんね」
 と思って、ある日、弟を殺して腹をさいて見たんだど。そしたば、すばらしく
粗食だったど。ろくなもの食っていねがったど。
「いやいや、こがえに、おれどさばりうまいもの食せっだのか」
 それから今度、自分で殺してしまったもんだから、神さまからオタタカ鳥にさっ
でしまって、
 オタタカチョウ 弟恋し オタタカチョウ
て、八千八声鳴かねうち、もの食んねことになったんだど。どーびんと。
(平井とよ)
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