25 和尚と狐尾長島(米沢市広幡)というとこに川原あんのよ。その寺の和尚さまが用足し に行って来て、川原さ来たって言うけな。そうすると、にわかに暗くなったてだ もな。あそこには狐がたくさんいっから、狐の仕業だと、和尚さまが、「狐、狐、おれどこ化かにしてはわかんねぞ。おれはそもそも狐なんだぜ、おれ どこ知しゃねごどか」 て言うたって。そうすっど狐、本気して出てきたずもな。 「この衣よ、お寺から借りてきたなだ。おれどこ本当の和尚さまに見えんべ」 そしたら狐も馬鹿にしたげんど、狐もたまげて言うた。 「はぁ、ほうか。本当に和尚さまの格好だな」 て、狐は言うた。 「この衣裳着っど、おれは狐だげんど、本当に和尚さんに見えんべ」 そしたらその狐、魂消たど。 「本当に和尚さまだな。そいつおれさ貸さねが」 て言うたど。 「いや、貸さねがと言わっで貸さねわけにも行かねべぇ、貸すべ」 「こいつ、この衣着て、笠かぶって…」 五月(さつき)の時だそうだ。 「和尚さま来ておぐやったがていうもんで、煙草しったときなの、いや、にぎり めしでも酒でも何でも御馳走になれる」 て言うたど。その狐、本(ほん)にして笠と衣借りだていうたな。そしてひょこひょこ と行ったていうたな。狐、本(ほん)にしてよ。みんな煙草してたどこさ行ったど。する とみんなが、 「何や、狐。衣と笠持(たが)ってきた。どこの狐だべ」 て、ぶっ叩いて、うんとせめらっだど。 |
(小関清輝) |
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