15 猿聟むかし、親父が猿に世話になったど。猿に世話になったもんだから、猿もとう し(ずうっと)来て、「娘三人持ってるもの、一人ぐらい呉ろ」 て、猿に言わっだど。そうすっど、娘に聞かねで分んねというわけで、大きい 娘に、 「猿に嫁に行ってくれねぇが」 というたげんども、 「おら行がね、あがなものさ嫁に行がね」 て、ことわらっじゃ。そんじゃ二番目さ、親父呼ばって聞いたど。そしたら二 番目も、 「おれも行かね、そがなものさ、おれ行がね」 て言わっで、こんど何としたらええんだかと、三番目呼ばって、三番目さ聞い たら、「おれが行く」と。 そしてその嫁に行ったわけだ。そしてある時、嫁と猿の聟は、野辺さ桜見に行っ たど。そして桜の花も美しく咲いたから、二人で行ったどごだ。そうしたところぁ、 いや咲いっだ咲いっだ、ええ桜咲いてる。 「あいつ、一枝ほしい」 と言うたら、 「んじゃ、あまりええ、おれ登って行って取ってくれる」 て、登って行くどこ見っだど。下は川だったど。 「ここが」「まだ上だ」「ほんじゃ、ここが」 そして、だんだんのぼって一番上さ行ったって。 「こいつか」「いま少し、いま少し上」 そして、しんぽえまで行ったらば、ボギンと折(おしょだ)って、猿が川さ落ちて死んだ ど。どーびんと、どーびんさらりん、さんすけ山さ火つけて、ごんすけ山で吹っ 消した。 |
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