88 御詠歌の昔話(1)
二十一番 丹波国菩提山穴太寺
かかるよにうまれあうみのあなうやと
おもわでたのめ とこえひとこえ
むかしむかし、丹波国に仲のわるい姑と嫁といであったど。ろくに口もきかないほどであったど。こんど嫁が、子ども生れるようになって、いよいよ生む日になって、なんぼか難産であったど。あまりのつらさに、常日頃も忘れて、思わず、
「おかあさん、苦しい」
と叫んだど。それで不仲もとけて、それから仲よくなったど。
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