62 まんじゅう

 和尚さま、法事さ出て行った後、常にくれないまんじゅうを小僧が食った。そして和尚さま来るまでに何としたらええかと考えていたども、考えつかねうちに和尚さま帰ったども、
「本尊さまさ上げておいたおまんじゅう、なして聞かないで食べた」
「おれでない、本尊様たべた」ていうて、
「本尊様は金仏だから」
「ほだて、おれ食ねから、本尊様だ。ほだら、食ったか食ねか、叩いてみっか」
 て、叩いてみたば、カーンというど。
「ほう、食ねていうど」
 和尚さま、こういうたど。
「ほんだら、火あぶりにしてみたらええでねぇか」
 ていうたど。火にあぶったども、音立てね。
「ほんでは、和尚さま、水さ入っで見たらええでねぇか」
 水さ入っでみたば、金仏焼いたもんだから、クッタクッタというたど。和尚さまは小僧に負けやったど。
「集成 539 餅は本尊様」
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