61 かい餅むかしあったけど。お寺の和尚さんと小僧がいであったど。和尚さんが、かい餅練りして食うども、和尚さん、自分でばっかり食って、小僧に食べさせない。あるとき、和尚さんが御法事に招ばっで行った後で、小僧が一人で作って食べたど。あまり作りすぎして、食べ残したど。そんで、入口の雪の中さ鍋のまま埋めたど。そして忘れっど思って、ギンギンと踏んで、その上さ糞たっでおいた。 次の朝に見ると、雪降って見えなくなってしまった。小僧は道踏みに出て、 雪降りて しるしの糞も見えざれば かい餅なべは いずくなるらん て掘っていた。それを和尚さん聞きつけて、 「小僧、いま何ていうた」 「雪降りて、しるしの松も見えざれば、わが故里はいずくなるらん」 て言った。 「よくできた。そんではかい餅のことは許す」 て、和尚さんいうた。 |
「集成 360 標の石」 |
>>川崎みさをさんの昔話 目次へ |