13 山鳥女房むかしあったけど。ある百姓、山道、夕方通りかかったば、一羽の山鳥(きじ)、罠(わな)にかかって苦しんでいたどこさ通りかかって、それ助けて家さ帰ったけど。そしたば次の日、ええ女尋ねてきて、 「おれ行くどこ持たねから、かがにしていて呉んねが」 ていうて、そこの家にいるようになったけど。そして、 「おれ、何も仕事もないから、機でも織るから、おれ、ほだども、機織ってるうち、機織部屋さ来ないでくんねぇか」 そう頼んで、そして織って出来あがった機持って来て、そしてこんど、この親父に売らせて、儲けらせてあったど。そして、 「また織るから……」 ていうども、 「こんな、きれいなな、どんな真似して織るもんだか」 て思って、そっと窓の切れから、親父が見だって。そしたば羽根もろくになくなった山鳥、一生懸命で機織りしてであったど。そしたば、山鳥が見らっだこと分って、んだからその機、一反織り上げっどはぁ、 「あれが、この前助けらっだ山鳥であった。恩返しに来たんで、あったども、見らっでは、いらんねがら、これで帰らせてもらう」 て、帰って行ったけど。んだから、鳥でも恩返しということ知ってるもんだど。むかしとーびん。 |
「集成 115 鶴女房」 |
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