10 蛇まじない

 蛇、むかし、ゴウガの山というどこさ、昼眠したごんだど。そうしたら、蛇の敵はナメクジだて。ナメクジにぐるっと取りかこまっでいだずもの、目覚めたば。
「いや、これは困ったごんだ」
 て思っているうちに、ワラビ、にょきにょきと出てきたことだけど。それ、ワラビって育ち早いもんだものなぁ。そのワラビ伝ってはぁ、蛇、ようやく逃げてあったど。んだから、蛇恐っかないと思ったら、「蛇よ蛇、ゴウカの山に昼眠して、ワラビの恩を忘れたか」て、そう三度詠んで歩くもんだ、そう教えらっだけな。むかしとーびん。
「集成 81 蕨の恩」
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