9 テデッポッポ

 テデッポッポていうのは、ソッポな息子、むかし、いでやったど。おっかさんが水汲んで来て呉ろて言うずど、土など持って来たりするソッポな息子いでやったずも。そのおっかさん、病気になったずも。そうすっど、
「とても、おれ、死んだら、こんなソッポな者、なじょになるもんだか、困ったごんなもんだ」
 て、心配しながら、目落しそうになったど。そして、
「にさ、まず、おれ死んだら、川端さ埋めて呉(く)ろよ」
 て、こう言うたど。ソッポだから、山の方さ埋めんべちゃえと、こう思って。そしたば、それ、なんぼソッポな息子でも、親に死なっでみたば、改心したずなんだか、こんど親の言うこと初めて聞いたごんだずも。そしたば川端さ持って行って埋めたど。そしたらある時、水出れば、そこ欠けて流っで行ったずも。そしたばこんどは雨降りさえすっじど、思い出して、
 テデッポッポ ダダ(母)流っだ
 テデッポッポ ダダ流っだ
 て泣くようになったけど。むかしとーびん。
「集成 48 鳶不孝」
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