1 猫とネズミ

 むかしあったけど。  お釈迦さまが大病になって、今にも死にそうになったど。そこで天竺さ薬とりに行かんなねことになったど。それで、「ネズミがええがんべ」て、そう言わっで、ネズミが使いに立ったど。そして一生懸命で行ってきて、その袋くわえて帰ってきたごんだど。そして、いまちいとでお釈迦さまの傍さ帰られっどき、猫、どっからか跳んできて、そのネズミ食ってしまったど。
 それで、お釈迦さまのあれに間に合わなくて、お釈迦さま逝くなられたので、猫は十二支さ、そのために嵌られなかったど。
「集成 6 猫と鼠」
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