18 本間さまむかし、本間さまざぁ、雑貨屋商売していたところが、本間さまの先祖の雑貨 屋のおかたが、夢見たどこだな。「いや、おれ、とんでもない夢見たどこだ」 「なじょな夢みたもんだ」 「おら家で、いろいろ品物をもらったりしている。大福帳、そいつ一匹の蛇出て きて、めちゃくちゃに喰い破らっだ夢だ。そしてこんど竿ばかりも何も、ぺろっ と蛇に折らっだのよ。んだから、おれ、そんな気持悪い夢見たもんだから、商売 でも何でも、だんだんさんねぐなるんであんまいかと思って考えたのよ」 したところが、親父は、 「そうか、とんでもない。夢というのは、判じようがあってなおれはそう、その 夢が大変気に入った」 「なじょなことに判じっか」 て言うたら、 「大福帳は、蛇に食い荒さっだ。貸しったのも何もないごんだべしと言うげんど も、大福帳じゃ(者)、おればかり(折れ秤)と判じた」 「そうか、それではおら家は繁昌すっか」 と、こういうわけで、本間家の先祖はそれから長者になったど。 |
(斉藤捷太郎) |
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