8 佐兵ばなし佐兵というもんは、「いやぁ、あついから助けて呉(く)ろ」 て、冬の大吹のとき、音立てるていうんだな。なんだって、この大吹きに、あ ついざぁなじょなごんだべと思って、助けてくろ、助けてくろと言うもんだから 出て見たど。そしたば、何だか向うの方に薄黒いの見えっから行って見たところ が、佐兵は堀さ入って、 「なんだ、あついから助けてくろざぁ、なじょなごんだ」 て言うたところぁ、カイロ抱いたまんまひっくら返っていた。ところぁカイロ の灰ぁみな落ちて、ふところの中いぶりついたもんだから、 「佐兵、助けてくろざぁ、そういうことか」 て言うたど。 |
(斉藤捷太郎) |
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