14 猫なで声むかしむかし、このねずみの見合いがあった。片脇は村長さんの息子さん、片脇は名主さんの娘さん。ほして、まず、村長さんの方の息子ねずみは、色気もええ、目はくりくりとして、ヒゲよし色よし、毛色よしで、まず欠点、非の打ちどころなかった。 ほしてまた、名主さんの方の娘も界隈のねずみ美女であった。ほの二人の見合いなていうの、みんな、ほの、 「いやあ、あれだらお似合いだ」 ていうてだ。ほして、見合いも無事終って、おかあさんねずみが、娘ねずみさ聞いてみた。 「あだぇ、ええ人いねっだべな」て。 「おれ、おかちゃん、気に合わねどこある」 ていうたって。 「どこ気に合わねどご。あだぇ(あんなに)ええ息子、ほだえ居ねべな」 ていうた。 「んだて、おれぁ大嫌いだ。一番きらいなどこある」 「ほだえ嫌いだなて、どこ気に合わねよ」 ていうたら、 「お前、おれとこれから交際してみねがぁ、なて言うの、ちょうど猫なで声だった」 ていうたけど。どんぴんからりん、すっからりん。 |
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