14 一休ばなし

 ある家で建てまえあるんだけど。そしてそんどき、一休和尚さんばお願いしてよ、いろいろ建てるまでもお世話になって建てたので、一番のお客さまとしてお使いしたんだど。ところがいろいろ酒盛りしていたれば誰よりも早く和尚さんから、お祝いの歌でも詠(うた)ってもらいたいて言うたてよ。
「んだか、んだればおれからか」
 て、ほうして言ったのが、
「じいも死ね、ばぁも死ね」
 て言うたてよ。
「何(なえ)ていう話だ。このおめでたい座敷で、じいも死ね、ばぁも死ねて、何かお祝いの言葉でもあっかどったれば、こういう風な、おらえの家さケチつけて呉んなだか」
 て、その主人があばっだんだど。ところが、
「みんなよっく聞け、この家で栄えるには順当ていうことが一番大切なごんで、これよりのお祝いていうのないなだ」
 て言うたけそうだ。
(安部はる)
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