7 カマイタチ人が死んで、まっすぐ極楽さ行んか、地獄さ行んかと思ったれば、地獄の煙出しさ突っかえったていうのだな。そして煙出しさつっかえって中見たれば、赤鬼青鬼いっそう博奕打ち、カマスさ銭すこだま立てて並べて、博奕打ちしったていうのだな。そうしたれば死んだ人、金好(この)ましくなってはぁ、「はぁて、この金何とかして娑婆さ持ち帰りたいもんだ」 ほうして、出まかせに、 「カマイタチだ」 て、そこさ落ちて行ったそうだな。したれば鬼だも魂消たずも。恐っかながったがして、カマイタチ来たていうもんで、そさカマスがらみ、ぶっちらかしてみな逃げたていうのだな。欲たかりじさま、金、こんどきだて、カマスさ入っで持って、娑婆さ生き返って来たていうなよ。ほうして福しくなったのだな。そうして福しくなったれば、隣のじさまも欲たかりだがして、 「何(なえ)ったて、隣でこの頃死んだつうげんども、金すこだま背負って来たていうごんだ。なぜな関係だべ」 たて、聞きたくて聞いたていうなだな。したところが、 「おれ、死んで極楽さ行くべと思ったら、地獄さ行って、地獄の煙出しにつっかえって、そうして煙出しから眺めていたれば、こんどは鬼、カマスさ金すこだま立てて博奕打ちしったけ。そうしたばその金好(この)ましくなって、この金を何とかして持って行きたくなって、でまかせ〈カマイタチだ〉て落ちて行った。したれば鬼ぁカマイタチ来たていうもんで、みな金置き去りにして逃げた。その金を持って来たんだ。そして金持ちになったんだ」 て言うたていうのだな。 「おれも死んで真似すんなね」 て、そして死んで行ったれば、やっぱり変らず地獄の煙出しさ行ったて。したれば案の如く青鬼赤鬼博奕打ちしったて。そこさ金ひろげてよ。ほうして欲たかりじさまだから、金好ましくて、前の親父と一緒に、 「カマクラエビ!」 て落ちて行ったど。したどころぁ、鬼だ、カマクラエビ来たていうもんで、たちまち鬼だに食っでしまったど。金一文も持って来ねで食(か)ってしまったど。んだから人の真似事するもんでない。 |
(横尾高治) |
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