2 古屋の漏むかし、じさまとばさまの夫婦いて、じさまとばさまで、夜雨すずろに降っどき、狼がサマの外にいて、年寄りば食って呉んべと思って来たって言うんだな。そいつ知しゃねで、じさまばさま二人いて、ばさま、「じんつぁ、じんつぁ、狼なの来たら恐っかないべなぁ、じんつぁ」 そしたら狼は外に待ってだったな、聞いて、 「なぁに、ばさま、狼なの恐っかなくないげんども、ナルとモル一番恐っかない」 それから、狼なの、 「世の中におれより恐かないものないべと思っていたが、ナルとモル一番恐っかないていう。ナルとモルざぁ、おれよりえらいものぁいたんだか」 て、魂消て逃げて行ったけど。そしてじさまとばさま難逃かっだけど。 |
(横尾高治) |
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