17 爺婆と黄粉

 むかしあったけど。
 じさ、朝げ早く起きて、お庭掃いだど。大きな豆、ごろごろと転んだど。喜ん で拾ったど。
「ばさ、ばさ、こんな大きな豆拾ったから、まず半分は種、半分は豆のこ(黄粉) にすっぜ」
 ほうしてはぁ、まずガラゴロと煎って、はたいたども、あまり貧乏であったべ ちゃえ、篩 (ふるい) 持たねがったど。
「はたいだども、まず篩ないし、隣の家さ行って借りれば、みち子さんが甜めだ いていうし、新しい家さ行けば、千代子は甜めだいていうし、いっそのこと、お れ褌、この間買ったばっかりだし、褌の端でほろぐが(ふるうかな)」
 そういうたど。そして褌の端でふるってだら、じさま屁出てきてはぁ、大きな 屁ブーンとたれだど。その豆のこは皆ふっとんで行ったど。ほうして向い山の笹 葉さくっついでしまったど。ほうすっどはぁ、近所の子どもは餅あぶってもって 行って、
    じんじの屁の実はうまいな
    じんじの屁の実はうまいな
 て、つけて食ったけど。むかしとーびん。
(川崎みさを)
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