44 法印と狐

 三月のお祭りに、法印さま町から来たら、狐が昼眠しったど。そんでホラ貝で おどしたど。
 次の日、暗くなっどきでもないのに、途中さ行ったら暗くなったのよ。そして その尻から荼 (だ) 毘 (み) やら、恐っかないようなものやら、後から来るもんだから、逃げ て、こいつ引越して行くまでと思って木さ登ったわけだごでな。そうすっじど、 なんぼ登っても、木さも上って来るようだずもの、それぁウラまで自分が上った 勘定して、ひっぽろぎ落ちたじだ。そうしたらば、ポォーと明るくなって、昼間 になって、こんど狐が、
「昨日のやがえし、コンコン、コンコン」
て逃げて行ったって。とーびんと。
(大平・渡部もよ)
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