42 黄粉と爺

 じじちゃとばっちゃいだっけど。
 庭掃き掃き、豆一粒ひろったど。そうすっど半分が種子、半分が黄粉としたど。 そうすっど半分黄粉にしたものの、篩ないごんだど。篩借りに行かんなねど。隣 の家さ行ぐじど子どもがいるし、その隣にも子どもがいるしすっから、借りに行 かねで、じんちゃ褌の際 (きわ) でふるっけて、ふるったど。んだげんども香ばしい匂い したもんだから近所の子ども衆みな来たごんだけど。そうすっじどじっちゃ尻の 下さかくしたど。そしたら屁たっじゃど。その黄粉ぁ、みな向いの山さ吹っ飛ん で行ったど。そうすっど子どもも吹っ飛んで行って、
   じじの屁の実ぁうんまいな
   じじの屁の実ぁうんまいな
 て、なめたど。どーびんと。
(大平・嘉藤)
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