23 瓜姫子瓜姫子、トカラントカランと機織りしったげんども、「山いも掘って来て食せっから、戸決して開けんなよ」 て、瓜姫子一人置いて行ったなだごでな。そして行ったところぁ、 「瓜姫子、機織りしったか」 なて、天邪鬼来たどこだど。 「ちいと戸開けて見せて呉ねが」 て言うど、 「見せらんね、戸決して開けんなて教えらっじゃがら、戸は決して開けらんね」 て言うたど。そんでも、 「ちいと開けて見せろ」 て言うたど。「開けらんね、じっちゃとばっちゃに、戸決して開けんなよて、言 わっだから、戸開けらんね」て言うても、「ええから開けて、ちいと見せろ」て言 わっで、ちいと開けたじもな。そうすっどこんど、 「いまちいと開けて、ちいと見せろ」 て言わっだど。そうすっどガラリ開けて瓜姫子どこ、 「梅もいで呉 (け) っから、いまちいと梅の木さあがれ」 て、梅の木のどこさ連 (せ) て行ったずもな。 「そげな恐っかないどこさ、上がらんね」 「ええから、いまちいと上がれ、いまちいと上がれ」 て、おっかないて言うのを、ビリビリ上げて、髪を枝さからませて、梅の木さ 吊るしたごんだど。そうすっど、われぁ瓜姫子になってええ衣裳着て、機織りし て、瓜姫子になっていだど。そしてじじとばば来たなだもな。 「瓜姫子、なえなんだか、機織りしったな」 天邪鬼は機織りなどしたことないから、ドガランドガランなて、梭などばり落 して、さっぱり上手な音しないずもな。 「なえだて下手だな、音悪 (わ) れな」 なて帰って来たど。そしたれば、 「いも掘って来たから、瓜姫子」「はい」なていたずけな。そしていも茹でて食せ だけってな。 「瓜姫子、いも茹でたから食 (く) え」 て言うたけど。「いもの皮むいて食えよ」て言うど、「皮は皮の薬、毛は毛の薬」 なて言うどもな。 「なんだごど、瓜姫子。皮と毛、きれいに取って食えよ」 て言うたど。そうすっどまた、「皮は皮の薬、毛は毛の薬」て言うずも。そうすっ どそこさ前の梅の木さ鳥ぁ飛んできて、 前の梅の木に瓜姫子 ぶらんこのり キッキッ て言うずものな。「なえだ、異なこと語っぜぇ、ばば、いま一ぺん聞いてみろ」 なて言うたば、 前の梅の木に瓜姫子 ぶらんこのり キッキッ 「なえだ、瓜姫子ぶらんこのり、キッキッて言うぜ」 出はってみたら、瓜姫子、梅の木さぶらんとぶら下がっていたずもの。 「天邪鬼の畜生だ」 なて、天邪鬼のどこ、ぶち殺してしまったど。そして瓜姫子むごさくて、大事 に育てっだな、殺さっだもんだから、じじとばばむごさくて、うんと立派に埋め て来たど。とーびんと。 |
(大平・嘉藤) |
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