8 狐むかし

 まいど、狐にテンポでまやかさっだ者はいっぱいいたごで…。
 おらえの隣のじんつぁ、法事さ招ばっで行って来たっけど。法事さ招ばっで行っ て御馳走なって、酔えて来て、先には道が上であったから、アカヤスミ場と言う どこ、下から上がりあげっどあってなぁ、そこに清水あったのよ。そうすっじど、 そのじんつぁ、苞 (つつ) コにもらって来たど…。
 そこさ、狐、ええおかたになって、「お湯さ入れ」て言わっで裸になって、お湯 さ入って垢落ししてもらったど、若い女によ。
 いつまでも来ねんだし、家で心配して迎えに行ったど。そしたらばその清水さ 入って、「ええ、ええ」て言うて喜んでいたけど。そして清水から上げて家さ連 (せ) て 来たど。家さ連 (せ) て来たげんど、まだ狐抜けないんだか、赤い女ええから、そこさ、 また行かんなねて、行くどこすんなだけど。んだげんど、そいつぁ狐に化かさっ だのだから、家さ置いて医者につれて行ったど。
(大平・渡部もよ)
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