1 オットンタカ鳥

 オットンタカ鳥という鳥は、兄と舎弟と兄弟二人の暮しだったど。そんで兄は 舎弟思いで、うまいもの舎弟さ食 (か) せ食 (か) せ、われがうまくないものとか、うまくな いどこ食 (く) い食 (く) いしったど。舎弟の方が根性ギダレなもんだから、
「おれにさえ、こがえにうまいもの食せるもの、兄はまだうまいもの食ってだべ」
 て、あるとき兄どこ殺したど。そして殺してみっど、兄はわれよりうまくない ものばり食っていでやったど。そんで舎弟が、
「いやいや、兄がこれほど大切にして呉っじゃに、くやしい、くやしい」
 て、鳴いだど。そして八千八声、オットンタカ鳥て、兄恋しくて鳴くなだど。 八千八声鳴かねど、餌 (もの) 食んね。餌とってる暇ないもんだから、モズカキという鳥 がとってくれた餌を食ってるんだって。
(新沼・土屋ひろえ)
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