25 鎌倉権五郎と鎌倉えびむかしむかし、あるところに若者がいて、山さ山菜採りに出かけて行った。ほしてずうっと山さ行って、道迷って、ほこら彷徨しているうちに、何だか、コヤコヤ、コヤコヤて、「ハッ」なて気合いかけるような音する。何だと思ったれば天狗だ集まって、博奕「ほう、こりゃ面白い」 ほして、ほこさ行って博奕打つどこ、しげしげと見っだれば、見つかった、天狗に。 「こらこら、貴様、何ものだ」 ほの恐ろしい顔で、高い鼻で、ギョロギョロ目でにらみつけらっだ。 「ははぁ、おれば威嚇すっどこだな。ほだらば荒い人の名前言うて呉 と思って、 「おれは、鎌倉の権五郎だ」 はぁ、鎌倉権五郎て言えば、源平合戦の折に、片方の目さ矢傷を負った。はいつ、友だちに引っこ抜いてもらって、ほして、その戦闘遂行したていう、鎌倉一の豪の者て言わっだ。その鎌倉権五郎て言うたもんだから、天狗はぶっ魂消た。 「そう言えば、度胸ある。われわれの顔見ても、動作見てもたじろがねし、一歩もしりぞかね。きっとあれは豪の者にちがいない。それ逃げろ」 て言うけぁ、鳥の羽毛の団扇みたいな持ったけぁ、いきなり脇の下から羽根出たと思うと、その多くの天狗はみなどことなく飛び去ってしまった。 ほの後さ残った銭、ごっそり若者が、かっさらって、そして山菜なのぶち投げではぁ、やっこらさっと背負って家さ戻ってきた。 隣の人、その話聞いて、 「いやいや、ほだえいっぱい銭もらって来るえんだら、おれもほういう風に言うてもらって来らんなね」 て、教えらっだ道順、ずうっと行った。ほうしたらばやっぱりほこで、天狗だ丁半博奕打ってだ。 「それ、二六の丁」「そりゃ、三五の半」 いろいろ夢中になってだ。恐っかないげんども、脈など落付かねげんど、プルプルてほこさ行ってみた。 「ほりゃ、また来た。貴様、誰だ」 て言 「鎌倉えびだ」 て言うた。 「おお、鎌倉えび来た」 て、天狗だ、みな集まって、 「みんな、御馳走なんべ」 て言うわけで、はいつ、引っさいではぁ、みんなしてムシャムシャ食 |
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