13 小僧持念―正月の餅―むかしとんとんあったけずま。あるどこで非常に旦那衆いで、ほしてほこではいろいろ、なかなか縁起かつぐ家だった。 ところが若衆だ女中だ、正月の餅搗き始めた。神さまさ上げるていうわけで、ほの餅も丸べだれば、後さなって勘定したれば、ちょうど四十九になった。怒るまいとごしゃぐまいと、旦那かんかんになってごしゃえだ。 「こともあろうに、正月から始終苦労してんなねようでは、ほだな餅搗きで、にさだあったもんでない。ほげな野郎べら、みな追出してやっから…」 ごしゃがっではぁ、まず。ほとほと困ってしまった。ほして奉公人だの女中だの、いる人は大半、家さなの帰らんね人ばりだ。んだから三十なっても四十なっても兄んにゃになって、その家さハイハイなて居 「ええ、ええ、今からおれ行って旦那と話してくる、今日 て行って、 「結構なお正月でござった」 「結構な正月なて、持念、ほだごどあるもんでない。おら家ではひどい目に合った。四十九の餅搗がっで、正月から始終苦労しんなね。今年一年、まず棒にふったみたいなもんだ。困った野郎べらなもんだ」 「いやいや、旦那さん、そうでない。これは縁起のええごんだ」 「縁起ええなて、何 「いやいや、これはな、世の中にいる福の神て言うな、七福神て七人の福の神さまいる。こいつさ旦那さん、七つずつ上げて見らっさい。きぱっとでないか、はいつ一つ足んねの、一つうかい(多い)のったんでは、福の神ケンカして、お宅さろくな福の神さま、つかね。平均に渡っどこでお宅さ福つくのだ」 「うん、ほうか、ほんではおら家ではええことあんなだな」 「ほだほだ、ほだごと知しゃね旦那でないと思った」 「ああ、持念、ええこと教えて呉 ほだえしている矢先に、女中は旦那からお茶持って来いて行ったれば、何な拍子なもんだか、閾さ端かかって、ほの土瓶落として割ってしまった。そうすっど旦那ごしゃえで、 「元旦から、こだなもの割るなんて、とんでもない、ほんじゃやっぱり縁起悪れ年だ。おれはつくづく予感した。お前出はって行げ」 「旦那さん、おれ出はって行ぐど、行ぐどこないから、何とか給料なの安くたてええから、置くばり置いてけらっしゃい」 なんぼあやまっても聞かね。はいつ見っだ、常々 「何だ、また腰も落付かねうち、また始めたか」 「いや、しでかしてしまった」 「ほうか、仕方ない。旦那さんおめでとうございます」 「また、おめでとうか、いやいや、本当か、何してだ」 「これは昔から唄にあるんだ。〈貪 「はぁ、ほんでは、おらえの家、やっぱりええどこばりだな、ええ、女中許す」 て、金づる教えて呉だんでは女中は許すからって、何なく女中さんがそこに居ることになって、かえってええ塩梅ぼっこして呉 |
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