まま子とひばり


 むかし、三人の娘を置いて母親なくした、おどっつぁがあったど。そして継母 (ままかか) も らったど。おどっつぁが東京さ出かけて行っていないとき、継母が、
「ざるで水汲め」て娘らさ云うたど。
「ざるで水汲まんねもの」て泣いっだれば、隣のばんちゃが来て、桶貸してくれ たので、それで汲んだど。そうすっど、
「石で火焚け」て云ったど。そうすっど、
「石で火焚かんねもの」て泣いっだれば、木一束持 (たが) って来て、湯沸かさせたど。
そうしたれば、「ヘラで萩切れ」てだど。ヘラで萩切れて云わっだげんど、三人で 泣き泣き行ったれば、じんちゃと行き会って、
「なして泣いっだ」「オカチャにヘラで萩切れて云わったげんど、萩切らんねくて」 て云うど、
「そんじゃ、鎌貸すから、持って行げ」て云わっで、借 (か) っで三本切ってきたど。
そうしたれば、
「萩ば風呂 (せいふろ) さ渡せ」て云うので、渡すど、
「萩の上ば渡れ」て云わっで、火どんどん下から焚いているべし、一番娘渡った ど。そして落ちてしまったど。そうすっど、二番娘も「渡れ」て云わっで、泣き 泣き渡って、三番娘も云わっだど。姉がみな死ぬもんだから、よくよく嫌 (や) んだく て泣いだら、
「渡れ渡れ」て云わっで、渡ったら落ちて死んでしまったど。
 三人の娘ぁ、みな死んだもんだから、継母はお倉の下さ、みな埋めてしまった んだどはぁ。
 おどっつぁ帰って来たんだど。
「子供どさ行った」て聞いたれば、
「遊び行って来 (こ) ね」て云うから、おどっつぁが川端さ足洗いに行ったら、ひばりぁ 飛んで来て、
   ママカカ うらめしや
   ザルで水を汲めという
   石で火を焚けという
   ヘラで萩を切れという
   萩の橋 渡っどて ツルリン パチョン
 て鳴いだど。そしてお倉のどこさ、また行ったら、ひばり飛んで来て、また同 じ唄うだったど。おどっつぁは夜になっても子供ら帰って来ねので、お倉のどこ 掘ってみたらば、三人みな埋めらっでだけど。ほだから継母じゃ、おっかねもん だど。トービント。
(東高玉)
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