食わず女房


 むかし、村にある男が、
「御飯 (おまま) 食 (か) ないオカタ欲しい」て、神さまさ願ったど。そしたらあるとき御飯食な いオカタ来たど。そしたどころぁ、男が、
「あれぁ不思議だ、御飯食ねで毎日いるざぁ不思議だな。何かあるもの」ど思っ たど。
 そしてあるときに、男は、
「オレぁ旅に行って来っから、お前留守居してろ」て云うて、そおっと天井さ登っ て、節穴から見てっど、女房は夫がいないから、喜んで夫が行った後で、一生懸 命で御飯 (おまま) 、でっすら炊いて、ヤキメシ握って、頭さヤキメシ食ったど。
 いっぱい食ったもんだから、腹くっつくなってはぁ、出掛けて行ったど。男ぁ どこさ行くもんだべど思って、後追っかけて行ったどころが、野原のビッキいっ ぱいいたどこさ行って、
「いや、ええかった腹くっつく食って来た」て云ったど。
(西高玉 原ひで)
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