鮭のよむかし

 むかしあったど。
 助けらっだ鮭のよが、助けた男んどこさ、女に化けてやって来たど。
「どうかオレを嫁にしておくやい」ていうもんだから、男は大変喜んで、カカァ にしたど。そしたらカカァは毎日、流しでうまい御馳走こしゃえで男さ食せっだっ たど。
「この御馳走は、なじょしてこしゃえんだ」て男がカカァに聞いだげんど、カカァ は教えねがったど。男は変に思って、そおっとカカァの御馳走こしゃえてっどこ 見たら、カカァは自分のタラゴをとって御馳走こしゃえっだったど。
 その腹のタラゴを全部食わせてしまったとき、カカァはふらふらになって倒っ てしまったど。
(貝生 工藤勝助)
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