82 大工のおかた

 たてまえの飾りものの由来。
 むかしむかし、すばらしい棟梁がいて、お観音さま建てだった。ところが弟子が間違って、ゴハイ柱短かく切ってしまった。
「こりゃ、困ったこと始まったもんだ、いよいよたてまえていうとき、柱短かく切ったなて言うていらんね、弟子のやったことは全て棟梁の責任だ。なぜしたらええがんべなぁ」
 て考えっだらば、
「ほだな簡単だ、袴はかせて、袴の中さ継げばええっだな。んだど見えねっだな。外から。ほだな五寸、三寸何とでもなるっだな」
 て教えだ。おっかが。
「ああ、なるほど」
 て、わかって、たてまえに事なきを得たど。んだげんども、そいつがもれたりしたら困ったことになるというわけで、おかたば殺してしまった。んだげんども何だか気持わるい。
 ほんでおっかの喜ぶもの、クシ、カガミ、カンザシなていうものを全部飾って憑らんねようにしたのが、たてまえの飾りものの始まりだけど。どんぴんからりん、すっからりん。
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