123 桃太郎むかしむかし、じんつぁとばんちゃいだけずまぁ。じんつぁ山さ柴刈りに行って、ばんちゃ川さ洗濯に行ったけど。ほうしたれば、川上から何だか赤いきれいなものが、ドンブリコ、ドンブリコて流っでくる。おかしいなぁて傍さ行ってみたら、はいつぁすばらしい大きい桃だけど。「あらら、桃だ」ていうわけで、いきなり拾い上げて、ほの桃ば家さ持ってきて、ほしてじんつぁと二人して食うべと思っていだ。ほだえしているうち、じんつぁ、山から柴背負って帰ってきた。 「じんつぁ、じんつぁ、桃拾ってきた」 「どれどれ、ほんでは割って、二人して御馳走なんべな」 て、包丁持 「あらら、子どもいねくて、子ども欲しい、子ども欲しいて思っていだれば、ほに、天のお授けだ」 ていうわけで、桃から生まっだから、〈桃太郎〉てつけんべていうわけで、こんどはいつ育てた。ほの桃太郎、ぐんぐん、ぐんぐんおがって、ほして気持はとってもやさしくて、ものすごい力持ちだった。 ところがある日、 「じんつぁ、ばんちゃ、おれはこっから先に鬼が島ていうとこがある。ほの鬼退治に行んからキミダンゴこしゃえでけらっしゃい」 て言うたって。 「ああ、お安いご用だ。大丈夫だか」 「いや、キミダンゴさえ食うど、大丈夫だ」 ていうわけで、ほしてキミダンゴこしゃえでもらって腰さぶらさげて、ほして手甲、脚絆に身をかためて、鬼が島さ向った。ほしたら山からキジがケンケンて飛んできた。 「桃太郎さん、桃太郎さん、お腰のものは何ですか」て聞いた。 「これは日本一のキミダンゴていうもんだ」 「何とか一つ呉でけらっしゃい。お伴する」 「ほうか、お伴すっこんだら、一つやる」 ていうわけで、キミダンゴ一つもらってキジが家来になった。少し行ったれば、山の方から、キャッキャッて猿が来た。猿もまたそのキミダンゴ一つもらって、家来になった。ほして猿とキジとずうっと行ったれば、犬が来たっけ。犬と猿はきわめて仲悪れんだげんども、お腰のもののキミダンゴで仲よくなって、ほして犬も桃太郎の家来になった。 いよいよ天気のええ日、ほの鬼が島眺めてみたれば、悪い鬼どもいっぱいいだ。農作物荒したり、ほら女をかっつぁらって行ったり、悪れごとさんざんすっけんども、誰も手つけらんね。はいつ退治するていうんだから、みんなから喜ばっだ。ほして舟さのってほこさ行った。さぁ行って、いよいよ戦争になった。キジは空から飛んで行って、鬼の頭をじゅくじゅく突つく。猿はひっかく。こんどは犬は脛 「いや、こんどから決して人間さ悪れごとしねがら、かんべんしてけらっしゃい」 「そうか、んだら今までお前だ、ほっちいじめたり、こっちいじめたりして取った宝物あるはずだ、ほいつ、みなよこせ」 ほの宝物、車さつんで後押ししたり、前率いたりして、エンヤラヤ、エンヤラヤて来た。じんつぁとばんちゃ心配しったはぁ。 「桃太郎は鬼に殺さっだでないべかなぁ」 なて心配しった。ところがエンヤラヤ、エンヤラヤなて声すっから、シクジリまで出迎え行ったらば、何と宝物山ほど車さつんで帰ってきたけ。めでたし、めでたし。 |
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