103 鴨取りの大当たりむかしむかし、あるどこに法印さまいだったど。ほの法印さま、狩人好きで、鉄砲打ち好きでなんねがったど。ある時、ずうっと行ったれば、鴨十二匹ばり泥突っついっだけど。 「よし、あいつ打ってけらんなね」 なて。先には、散弾なてなくて、一つ弾だった。ほして、ほの鉄砲の台尻ふるわせて、つうと動かして一発やらかした。次々鴨打ち抜いで行って、みなさ当った。ところが二羽だけは川の真中にいたもんだから、川さ流っだ。 「ありゃりゃ、川さ流っで行ぐど、いたましい」 ていうわけで、いきなり川さ飛び込んで、ほの二羽もつかまえて、ほの十二羽、次々に陸の方さ上げてよこして、ほうしてひとかためにしった。ほして、〈どっこいしょ〉と上がんべと思って、木の棒杭つかんだ。ところがほの、木の棒杭だと思ったな、兎の伴足つかんでしまった。 兎は後足おさえらっだもんだから、前足で一生懸命掘った。ほして、やっこらさとあがったれば、ほこさ山芋十貫目ばっかり掘らったった。 「いやいや、山芋十貫目、鴨十二匹、兎一羽とった」 て、喜んで大いきで家さ帰ってきた。ほして家さ来てみだれば何だか股引の中コチャコチャする。おかしいなぁと思って股引脱いでみたらば、股引の中さ、どじょう三升ばり入ってだけど。どんぴんからりん、すっからりん。 |
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