141 屁たれ嫁

 むかしむかし、きれいな娘いだったど。
 どこさ嫁行っても、二・三日経つと家財道具みな持ってもどって来る。
「不思議なこともあるもんだ。あだいええ娘だら、おれもらって見っかなぁ」
 て言うて、ほして仲人に聞いてもらった。
「何か欠点あるもんだか」
「いや、欠点どて別にないげんども、一月(ひとつき)に屁たれるからよ」
「一月に屁一つなて、普通の人は一日に三つも四つもたれるんだ。ほだな、ねっからくなね(苦になんない)。ええ、おれもらうべ」
 ていうわけで、もらってみた。そしたら三々九度の盃も終って、いよいよ床入りの段、床入りして夫婦の契(ちぎ)りとなったら、こら、ぶったまげた。一ヶ月に屁一つだと思ったら、一突きに屁一つずつ出る。つうとばり(少しばり)の音でない。臭気もはなはだしい。一回突くとポン。また一回突くとポン。その人は早突きの名人だったか、ポンポンとなる。ほしてとうとうその人も離縁してしまったど。
 どんぴんからりん、すっからりん。
>>鉢かつぎ姫 目次へ