136 後家

 むかしとんとんあったずま。
 ある村に法華寺があった。お寺さまは全部むかしは後家であった。女房持たんね。ところがある部落に、早くその旦那さんに死なっで、三十後家は通さんねて言う譬の通り、なかなか楽でなかった。器量もええし…。
 ところが、たまたまその坊さんがそこに忍び込んで、そしてある晩忍び込んで行ったら、一晩ゆっくり休ませてやっだいと思って、そのおかみさんが居たれば、丁度夜中になったれば、鶏の奴は、
「ホッケボー、ホッケボー」
 村中聞えるような音出した。何とも仕様なくてはぁ、法華さま逃げ出した。ところが烈火の如くごしゃえだのは、その後家さん、「こん畜生、ほに」て、棒でわんわんぶって行って、ごしゃえだ。ところが鶏、「ゴゲコッコ、ゴゲコッコ」て言うたど。どんぴんからりん、すっからりん。
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