134 カワラ毛

 むかしむかし、ある村に、すばらしく体格ええくて、器量のええ娘いだったど。その娘が聟(むこ)とりだったど。
 ところが誰言うとなく、その娘の股間の茂みがない。いわゆるカワラ毛である。
「あの体格で、茂みがないなんていうことあるもんでないべな」
「いや、ある」
 若い人だち論判になって、そして賭になってしまった。本当はその娘さん、聟とり娘なもんだから、いつでも昼寝する。昼寝したとき見るようにて、代表がきまった。ツルツルの代表、モチャモチャの代表。そして行ってそいつ確認さんなね。あるとき、そおっと忍んで代表が行ったれば、やっぱりひっくりかえって昼寝していた。ところが何と、昼寝しったとき見たれば、ツヤツヤ、モサモサなんていうもんでない。すばらしいいっぱいだ。
「どうだ、おらだに負けたべな」
「あらら…」
 なて。その気配に気付いたその娘さんが、「うーん」なて寝返りしたれば、蝿うわーんと飛んだれば、一本もないツルツルだった。どんぴんからりん、すっからりん。
>>鉢かつぎ姫 目次へ