115 子育て幽霊

 むかしむかし、あるところに飴屋が一軒あったんだけど。一文ずつ持(たが)って「飴呉(け)てけらっしゃい」と買いに来る。そして売ってやる。その次の晩も、「飴呉(け)てけらっしゃい」て来る。売ってやる。ところが六日間続いたら、はいつがパッタリ消えてしまった。おかしいこともあるもんだ。むかしの人は六文銭、六道銭ていうて、死んだ人に六文やれば六文が永久に使ってもなくなんねぇていうわけで六文を棺の中に入れてやった。  ところがその六日ではたと止んだもんだから、そこの御主人がその娘の後追っかけて行ったら、新墓地さ行って、新しい土盛りのどこさ消えて行ってしまった。すぐお寺さまさ行って、 「こういうわけだった」 「ああ、あそこの若奥さんが腹大きくて逝くなったはずだ」  ていうわけで、ほしてお寺立会いで、皆して掘ってみたれば、中さおぼこ生まっでいだっけ。ほのおぼこさ食せるために、飴買い来たんだけど。ほしてそのおぼこが掘り出さっで育てらっだけど。どんぴんからりん、すっからりん。
(子育て幽霊147A)
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