3 地ン蔵物語ソーレ物語、語り候。語ればもっての物語。江戸は浅草前のことなれば、奇妙ふしぎな地蔵が一体立たせ給う。参る堂舎は何処何処。江戸千軒、桂は千軒、大津、坂本、滋賀、唐津まで八万軒まで参らせ候。そのうち十七、八の女郎一人来たらせ給う。その女郎の召したる小袖は唐全、唐綾、柳の織物よ。十二単衣と召されける。地蔵の前に畏り、肝胆口説いてよみにける。 地蔵は持ったる錫杖打ち投げて、女郎の小腰にむったと組み、チータハータと半時ばかり掛け合った。 あたりの小地蔵の申すには、おらも早う大地蔵となって、しんと拝まれたい、との戯(じゃれ)物語。 |
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