ソーレ物語、語り候瞽女が長い口説節を語るあわえ(合間)に、よく早物語や早口こどばをきかせた。それが伝わり遺って、酒席をにぎやかにわかせる種になったばかりか、夜なべの「寄え」(共同作業)には語り部が宿々から、引っぱりダコで迎えられたものだという。人手ばかりに頼った昔のマブシ織りや、秣にする萩の葉扱いなど、作業が単純なだけに、どうしても眠たくなる。そんな時、かるい艶話(おかたり)やこの早口物語などが何よりの眠気ざましで、働く手を休ませない特効があった。昔はそんな語り部は部落(むら)の宝とされたことだろう。 早物語の中には、口説節や変りおいとこ、あるいは手まり唄などに姿を変えて親しまれたものもある。従って、多少は原形をくずしたものもあるかもしれない。 |
>>安楽城の伝承 目次へ |